2018年ノーベル賞医学生理学賞に本庶佑氏(京大特別教授)が決定

2018年のノーベル賞に医学生理学賞に本庶佑(ほんじょ・たすく)氏(京大特別教授)と米テキサス大MDアンダーソンがんセンターのジェームズ・アリソン教授が選ばれました。

本庶氏はがん細胞を攻撃する新しいタイプの免疫療法を発見し、「オプジーボ」という免疫チェックポイント阻害剤という薬の開発に結び付けることができた功績を評価され、ノーベル賞医学生理学賞の受賞となりました。
がんの治療には「外科手術」「放射線治療」「抗がん剤投与」などがありますが、今回新たに「免疫で直す」という選択肢が加わりました。

免疫とは人間に本来備わっている防御機能の一つです。通常がん細胞などの異物はは、免疫が働いてがん細胞を駆逐する働きをしますが、免疫細胞には自信の働きを抑制するブレーキが備わっており、がん細胞はこれを使うと攻撃されずに、増殖することが可能となり、やがては人体に壊滅的なダメージを与えることになります。二人はこのブレーキ役の分子の働きを抑え、がんへの攻撃を続けさせる治療に成功させたというものです。
このブレーキ役となる分子の名前はPD-1と呼ばれるもので、これを抑える薬「オプジーボ」として日本では2014年から世界に先駆けて承認され、現在では世界60か国以上で承認されています。
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日本からの受賞は2016年に「オートファジーの仕組みの解明」で受賞された、東京工業大学の大隅良典おおすみよしのり)博士以来2年ぶり26人目。
授賞式は12月10日にストックホルムであり、賞金900万スウェーデン・クローナ(約1億1500万円)が贈られるそうです。
ノーベル賞は、ダイナマイトを発明したアルフレッド・ノーベル氏(1833年~1896年)によって創設さました。授賞式はノーベルの命日にあたる12月10日に、スウェーデンの首都ストックホルムのコンサートホールで開かれます。「平和賞」のみオスロ(ノルウェー)の市庁舎で行われます。

「オプジーボ」として実用化に取り組んできた小野薬品工業は、2002年から本庶佑・京都大学特別教授と共同開発で取り組んできたそうですが、本日の小野薬品の株価は年初来高値の3430円まで急騰しました。
しかしながらここまでの道のりは大変険しいものだったようで、特に「免疫療法」という新しい分野に一時は会社がつぶれるのでは、と内部からも揶揄されるほど大きなリスクを抱えての道のりだったようです。

2014年に皮膚がんの一種である悪性黒色腫(メラノーマ)の薬として保険適用された時の価格は約73万円。厚生労働省から発表された薬価が現在100ミリグラム約28万円となっており、とうしょにくらべて1/3となりましたが、まだまだ一般の人が簡単に治療薬として使えるほどではないようです。
ただしオプジーボはすべてのがんに効くわけではなく、また間質性肺疾患や重症筋無力症・心筋炎・筋炎・横紋筋融解症などの副作用も報告されています。
それでも従来のがん治療に一石を投じ、新たな免疫療法としてこれから一人でも多くのがん患者を救うことができればいいですね。

スウェーデンストックホルム ノーベル賞授賞式会場(コンサートホール)

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