2018今年のイグノーベル賞は

毎年9月から10月にかけて、ノーベル賞のパロディである「イグノーベル賞」の選考が行われました。
「役に立つかどうかさっぱりわからないが、世の中に希望とユーモアを与える研究に贈られる」イグノーベル賞は、毎年受賞者を見ると必ずと言っていいほど日本人が多くノミネートされ、多くのイグノーベル賞に輝いています。

2018年は、昭和伊南総合病院の堀内朗医師(57)が「座った状態から自分で内視鏡を操作しながら大腸検査ができる」という研究で医学教育賞を受けました。
「大腸がん検診で行われる内視鏡検査は、横に寝て大腸からカメラを挿入し、体内をぐるぐる巡りながら検査を行う。しかしこれは痛みと不快感を伴い、躊躇する方が多いため、自分でやって本当にできるか、それによって不快感を無くし、検査する方が増え、少しでも大腸がんを減らせることができればいい」と受賞前に本人は語っていたそうです。
いや人を笑わせるような奇妙な研究などではなく、ご本人自らが実験台になり、自らリポートして、検査の容易さ、有益さを証明するなど大変立派な本家にも勝るノーベル賞的な研究だと感じました。
これによって本当に大腸検査が増え、大腸がんになる人が減るかどうかはわかりませんが、日本人の勤勉さ、研究熱心さが表れていると思います。
このイグノーベル賞が創設されたのは1991年ですが、日本人の受賞者は大変多く、今年の受賞は何と12年連続!
イグノーベル賞の創設者である、マーク・エイブラハムズ氏によると、「多くの国が役に立たない=金にならない、このような研究に対し、軽蔑のまなざしを向ける中、イギリスと日本だけはこのような研究者に対しても誇りとして受け止める慣習がある」とあげています。
授賞式は毎年ハーバード大学のサンダーズ・シアターで行われ、本家はスウェーデン王室に敬意を払うのに対して、イグノーベル賞では、スウェーデン風ミートボールに敬意を払うのがしきたりとなっている。
授賞式も厳かな進行などではなく、式の初めに全員が紙飛行機を作って投げ続け、それを掃除するモップ係は、ハーバード大学教授のロイ・グラウバーという方が例年務めています。この方は2005年のみ例外となったそうですが、その理由がなんとノーベル物理学賞を受賞し、そちらの式典に出席していたということだから驚きです。
とにかく、ばかげたことにも真剣に取り組む気質は、かつてイギリスの国営放送、BBCで大人気だった幻の番組「モンティ・パイソン」を作り出した、シニカルとユーモアの先進国であるイギリスならではのものでしょう。
かつてこの番組が大好きだったジョンレノンは、1980年に亡くなる2日前に、「もし生まれ変われるのなら、ビートルズではなくモンティ・パイソンのメンバーになった方がある意味では幸せなのかもしれない」と語っていたそうです。
もし今でも生きていたら、きっとこのイグノーベル賞にも何らかの形でかかわっていたのではないかと想像するのは私だけでしょうか・・・。

ハーバード大学サンダーズ・シアターはコチラ

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